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ブレーキパッドのウンチク

フェードとベーパーロック

フェード
摩擦材が300℃~350℃以上の温度になると、樹脂などが分解して発生するガスがパッドの摩材表面にガス膜を作り、ブレーキの効きが急に悪くなる現象です。 フルメタル材(焼結パッド)を除き、全ての摩材で結合材として樹脂が使われていますのでフェードは起こり得ます。
特に、純正パッドやストリート用パッドでは、鳴き対策や低温時の効きを重視しているため、樹脂やゴム類、有機系繊維等の有機分を多く含んでいます。そのためロータ温度が約350℃を超えて、これらの有機分が解けたり燃えたりするとフェードが発生しやすく効きの落ち幅も大きくなります。
しかし、サーキットの連続周回では有機分が分解し始める350℃くらいは、すぐに超えてしまいます。そこで「ZONE」では、樹脂を極力減らしゴム類は含有せず、有機系繊維の変わりにスチール繊維や無機繊維を使用することで耐フェード性能を上げています。
また、このとき発生したガスを上手く逃がすためにも、摩材の真ん中に溝が施されています。

 

フェードと似かよった症状
フェード現象とは別に、高温で効きの落ちるスポーツパッドがあります。
これは、ガスが発生してフェードが起きているのではなく、その材質がもつ高温レンジが足りていない、または材料設定上、意図的に効きを押さえている場合があります。
これらはフェードではなく、含有原料の融点の低い金属が溶け、すべりを発生させて効きが低下しているのです。

 

ベーパーロック
ブレーキフルードが沸騰して気泡が発生し、ペダルが奥まで入ってしまい、ブレーキが効かなくなってしまう現象。ブレーキ自体がそもそも運動エネルギーを熱エネルギーに変換して制動するものですので、制動時に発生した熱は、ロータからパッド、パッドからキャリパピストン、キャリパボディ(対向キャリパの場合)、フルードへと伝わっていきます。
特に、摩材に鉄分やその他の金属を多く含むパッドは、熱伝導率が高くなりますので、フルードに熱が伝わりやすく、結果フルードの温度が高くなってしまいます。
NAO材、ロースチール材と比較して、ハイスチール材は鉄をはじめ、金属粉を多く含みますので、熱伝導率も高くなり、必然的にフルードも高温に強い(沸点の高い)ものが必要となります。

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