ブレーキパッドのウンチク
ブレーキノイズとジャダ
◇ブレーキノイズ(鳴き)
ブレーキをかけたとき、パッドの摩擦材とロータの間で摩擦振動が発生し、これが周辺パーツと共振してブレーキノイズとなります。
主な原因
パッドとロータの振動
↓
ロータ、キャリパ、パッドの共振
音の種類
- キー音、チー音(スキール音) 高周波(1~15kHz)
一般的に鳴きと呼ばれているもので、低速からの踏力の低いブレーキの停止際で発生する場合が多い。
- グー音、グッグッ音(グローン音) 低周波(50~300Hz)
AT車の発進時、下り坂での発進時等に、足をブレーキから離した瞬間に発生する。
摩擦材の静摩擦係数と動摩擦係数の差が大きいと発生しやすく、ロースチール材に多い。
- ゴー音、ゴリゴリ音(ランブル音) 低周波(50~300Hz)
30~40km/hからのブレーキングの際に発生する。
◇ジャダ(振動)
高速から踏力の低いブレーキの際に、パッドの摩擦材とロータの間で摩擦振動が発生し、これがサスペンション系を伝わり、ブレーキペダルやハンドルに振動を感じる。
低周波(10~30Hz)
主な原因
パッドとロータの振動
↓
サスペンション、ペダル、ハンドルへと伝わる
↓
車体の共振
(ロータの肉厚変動と振れが大きな原因)
ブレーキノイズ、ジャダの具体的な原因(共通事項)
- パッドとロータが均一に当たらない。(皮膜がロータに均一に形成されない)
- パッドがフェードしたり、高温になった後にパッドの摩擦面が荒れている。
- ロータの段つき摩耗や、“すじ状”の荒れが多い。
- ロータの厚さが均一でない、面振れが大きい。
- キャリパのスライド部が錆び付いたり、グリス切れで動きが悪い。
- ピストンシールの劣化でピストンの動きが悪い。
- バックプレートシムが無かったり、変形や傷みがひどい。
- 鳴き止めグリスを使っていなかったり、グリスが劣化している。
対策例
- 純正シムとグリスの併用。⇒シムもゴムコーティングが経時劣化で硬化し本来の振動吸収の役目を果たせないことがあるので交換する。(シムも消耗品)
- 摩材の面取りをしていない場合は面取りを追加する。
- ロータが薄くなると鳴きやすくなるので、使用限度に達する前に交換する。
- パッド固定用のサポートプレートが摩耗してガタが出ることがあるので新品に交換する。
- ロータが偏摩耗していたり、荒れているとパッドが均一に当たらず鳴きが発生しやすいので、研磨するか新品へ交換する。
- ブレーキをかけていないときにも鳴きが発生している場合は、小石の噛み込み、またはブレーキの引きずりの可能性があるので点検する。
- サーキット走行後はロータに付着した被膜が剥がれたり、均一でなくなるので鳴きが発生したり、異音(ゴリゴリ音)が発生しやすくなる。被膜が安定すれば鳴きは減少する。
- パッド中央のスリット(溝)にも面取りを行う。