ブレーキングマイスターへの道・ブレーキングテクニックのすべてがわかる

【STEP2】「止まるブレーキ」&「曲がるブレーキ」

 曲がるブレーキング

ブレーキ踏力を抜くポイント

「タテ + ヨコ = 10までの法則」のもと、荷重によるタイヤの最大限のグリップ力を引き出すためには、ブレーキ踏力の抜き方がとても重要になります。

抜くポイントは、カク、カク、カクと段階的に戻すのではなく、ジワァ~と無段階的に戻すことです。そういう意味では止まるブレーキ操作の秘訣であった「素早く・強く」踏むとは対照的な操作になります。ブレーキのリリースコントロールは、かなりデリケートな操作が要求されるのです。

さらに、ハイレベルなブレーキのリリースコントロールを行うためには、ブレーキングからコーナリングへ移行する“つなぎ”の部分で、いかに無段階操作ができるかがポイントとなります。

しかし、いくらジワっと戻すといっても、ゆっくり時間をかけて戻すわけではありません。この、時間的な制約があるなかでは、特に、リリースの初期部分が難しく、頭のなかではわかっていても、ついつい段階的な操作になりがちです。

ところが、かなり難しいテクニックには変わりないのですが、じつはある動作をキッカケとして使うことで、意外や意外、精度が高く、かつ確実性にも優れた操作が可能となるのです。

その動作とは、足の指を広げることです。たとえば、家の壁でも柱でもかまわないので、フルブレーキを踏むように右足の裏で強く踏んでみてください。その状態から、足の指だけを広げてみましょう。すると、強く踏んでいる右足の踏力が“フゥッ”と弱まるのを感じるハズです。

つまり、実際のブレーキリリースの順番として、右足の指を広げる⇒ステアリングを切る量にあわせて、膝を曲げてブレーキを戻していくようにするのです。この足の指を広げる方法をつかって、ブレーキリリースの初期さえ精度の高いコントロールができれば、それ以降は「タテ + ヨコ = 10までの法則」に従って操作するだけで、ほぼカンペキな曲がるブレーキングができるようになります。

しかし、この部分で、踏力が徐々に緩んでいるのにも関わらず、ブレーキの効きが弱まらないことがあります。それは、リリースコントロール性能の悪い、張り付き感の強いブレーキパッドを装着した場合です。

こうなると、ドライバーは、なすすべがなく、張り付いたような強いブレーキのまま、ハンドルを切り、有効なタイヤのタテとヨコの関係も使えず、アンダーステアを誘発するか、一気にブレーキ踏力を弱めて、上手な荷重移動も行えないまま、コーナーへオーバースピードで進入するかしかありません。

このように、ブレーキリリースの始まりの部分では、ドラテクとブレーキパッドのリリースコントロール性能の両面とも精度が高いことがとても重要です。

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