ブレーキングマイスターへの道・ブレーキングテクニックのすべてがわかる

【STEP5】ABS使いこなし術

ABSのレベルによる踏力調整

このように、ABSはかなり優れた部分もありますが、サーキットではABSを殺して、走っている人って多いですね。

恐らく理由は、ABSが効きすぎることにあると思います。
ABSは、強すぎる踏力に対し、ブレーキロックを解除してタイヤが転がることを優先します。その結果、ステアリングが効くようになるというメリットがあるのですが、この時にタイヤのグリップに対して若干のマージンが持たせてあります。

特に、一度ABSが介入すると、タイヤが転がることを優先するだけに、タイヤのグリップが多少回復しても、ABSが効き続ける状態になることがあります。
もちろん、このマージン以上にブレーキ踏力を弱めて、十分タイヤがグリップする状況を作れば、ABSは解除されますが、そこには、感覚的に言うと、10%ぐらいのマージンが存在しています。

また、スポーツABSと呼ばれる、ハイレベルのABSでは、このマージンが少なくなり、ほんの少しでもグリップが回復すると、ABSが介入しなくなります。
過去の話ですが、GTレースでABSが使われていた頃は、フルブレーキで白煙が上がるABSがあったぐらいです。

よって、最大限にABSを活用するという意味では、ABSの種類(レベル)によっては、ABSが介入する寸前で、ブレーキコントロールを行うことは有効だと思います。
ただ、ABSが介入することを恐れて、踏力が足りない箇所が出てくる場合は微妙です。

私は、サーキット走行の場合、まずABSを効かせてみて、ABSのマージンが多い車輌なら、「曲がる」ために必要な、リリースコントロールが難しいので、ABSがギリギリ介入しない部分を狙ってブレーキの踏力を調整します。また、マージンが少ないなら、ABSが少し効くぐらいのブレーキ踏力に調整して走ります。
要するに、ABSを効かせるか、効かせないかは、ABSのレベル次第です。

前のページへ